自分に新しい名前を付ける
2008.12.14
仙台の新坂町と言う寺町に、骨董のお店を構えてあっと言う間に
5年が過ぎた訳ですが、今までで一番お客様に聞かれた事は
なんだったかなぁと思い返すと
「なんでイシンって名前なんですか?」と
純粋に聞きたくなったからか、会話の途切れに場繋ぎで聞いたのか
わからないけれど、聞かれたような気がします。
ヘラヘラと師匠のところで骨董修行していた私は
自分が骨董屋をやるなんて思ってもいなくて
いざお店をやることになって、いろんなことを悩みましたが
一番悩んだのは「店名」でした。
悩まなかったのは、ダブルのスーツを着た不動産屋に悪態をつく時ぐらいでした。
嫌だったのは骨董屋らしい名前でした。
「時代屋」などと馬鹿丸出しは論外として
「なになに堂」とか「ちょめちょめ庵」などという、安易に和を体現してる
名前は私には合わないと思いましたし、
たとえば「古今里」のような、場末のスナック的な当て字は
私って気が利いてるでしょって感じが、私にはプレッシャーに
なると思われました。
一応覚え易さや、インパクトなどを視野に入れていた私は
本名が、普通の苗字なことを恨みました。
名前が「ゴンザレス」や「カラマーゾフ」ならそのまま
「ゴンザレス屋」でいいのにと、苛立ち、特に中近東の方を
羨ましげに、睨みつけたりしていました。
作詞家としてだけは尊敬できる、秋元康がプロデュースしたお店に
「うんこや」というレストランがあることは知っていました。
お店の名前としてだけなら、この名前に勝るものはない、と思っていた私は
全てをだめにしかねない、変な誘惑とも
戦わなければなりませんでした。
もう本名をマイケル釈尊に改名しなければならないと、
市役所に向かっている道すがら、
「イシン」という名前を思いつきました。
もう冬がそこまで来ている、晩秋のことでした。
維新
威信
遺臣
惟神
以心(伝心)
い親(親族間の親しみ。親しい血族)
金地院 以心崇伝(徳川に仕えた禅僧。黒衣の宰相と呼ばれる)
言葉は意外に不自由で、ひとつの意味(漢字)にしてしまうと
それだけのイメージになってしまう、と、もどかしさを感じていた私は
一つの言葉で色々幅があるものが理想だったし、
いくらイメージが広がるからっていっても、日本人だから
簡単にフランス語とかには、したくなかった。
カッコはいいけど。「ishinn」ってローマ字表記だけど。
今回は自己紹介と言うことで。